直接販売と代理販売の違い

次に直接販売と代理販売の違いを整理しました。

メーカーが自社で行う直接販売とパートナーと提携して行う代理販売には、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれのメリット・デメリット、代理販売で求められるスキルについて解説します。

直接販売と代理販売の違い

直接販売と代理販売には、次のような違いがあります。

直接販売代理販売
顧客との接点限定的広範的
人件費や拠点費などの固定費大きい小さい
利益率高い低い
営業担当者の育成容易困難
情報共有容易労力がかかる
受注率高い低い
直接販売と代理販売の違い

直接販売では人件費や拠点費といった固定費の負担が大きくなるのに対し、代理販売ではパートナーの営業リソースを自社の固定費なしで活用できる点がメリットといえます。

またパートナーを介すことで、自社の拠点がないエリアの企業や取引実績がない大企業など、接点を持つまでに時間を要する顧客にアプローチできるのも代理販売のメリットです。パートナーへのマージン支払いを考慮しても、自社で直接販売を行う場合に比べて顧客獲得のための単価を抑えられるケースが多いでしょう。

直接販売、代理販売それぞれ次のように整理できます。

直接販売のメリット・デメリット

メリット

  • 自社の優位性を直接顧客に訴求できる
  • 顧客と直感的に接点を持てるため、商品・サービスそのものや営業・マーケティングの内容を改善しやすい
  • 代理販売に比べてKPI管理が容易

デメリット

  • 人件費や拠点費、採用・育成コストが大きい
  • 顧客の数が増えるとコストも増える

代理販売のメリット・デメリット

メリット

  • パートナーの営業リソースを活用できる
  • 自社の拠点がない地域での展開を進めやすい
  • 自社では開拓に時間を要する顧客とも接点を持てる

デメリット

  • マージンが必要なため、利益率が下がる
  • パートナーの数が増えると管理コストが増える
  • パートナーの方針変更により、競合他社の商品・サービスに乗り換えられるリスクがある
  • 顧客の声が自社に届きづらくなる
  • KPI管理の難易度が高い

代理販売の根幹はコミュニケーションにある

代理販売では、どのようなスキルが必要になるのでしょうか。2023年に才流が実施した「代理店(パートナー)ビジネスの実態調査」の結果を紹介します。

調査の対象は、システムインテグレーター、商社・卸売、OA機器サービスのいずれかに所属し、他社の商品・サービスを自ら販売した経験をお持ちの200名。メーカーがパートナーを理解することの重要性を周知し、よりよい関係を目指していくことを目的として実施した調査です。

<調査概要>

調査対象:以下の条件をすべて満たす22~65歳の会社員男女

  • システムインテグレーター、商社・卸売、OA機器サービスのいずれかに所属
  • 他社の製品・サービスを自ら販売した経験がある
  • 製造業、情報通信業、商社・卸売り・小売業、その他

調査期間:2023年2月16日

有効回答数: 200

調査手法:インターネット調査

調査機関:株式会社才流

調査の結果、「ご自身がある特定のメーカーの製品・サービスの販売に注力する、または頻繁に販売しているとき、その理由は何ですか?」という質問に対するパートナーの回答は、「メーカーとコミュニケーションしやすい・連携が取れている」が最多。次いで、自社製品・サービスとセット売りできるなど相乗効果があること、機能や価格が優れていることが挙がりました。

Q. ご自身がある特定のメーカーの製品・サービスの販売に注力する、または頻繁に販売しているとき、その理由は何ですか?最も当てはまると思うものを最大3つまでお答えください。

図版:「ご自身がある特定のメーカーの製品・サービスの販売に注力する、または頻繁に販売しているとき、その理由は何ですか?最も当てはまると思うものを最大3つまでお答えください。」に対する回答の横棒グラフ

また、2023年11月にセレブリックス営業総合研究所が公開した「職種別営業スキルの調査レポート」では、パートナー営業で求められるスキルとして判断力や共感力、説明力といった対人スキルが上位を占めています。

順位スキルカテゴリクラススキル名Score
103_基礎ビジネススキル対人スキル349_判断力3.67
201_基礎コミュニケーションスキル対人スキル347_共感力3.66
301_基礎コミュニケーションスキル対人スキル351_説明力3.65
401_基礎コミュニケーションスキル対人スキル352_傾聴力3.64
503_基礎ビジネススキル対人スキル350_観察力3.63
※出典:セレブリックス営業総合研究所が公開「職種別営業スキルの調査レポート」

たとえば判断力は、注力すべきパートナーを選定したり、パートナーとの契約内容を検討したりするときに必要になります。また共感力は、パートナーとの関係を構築していくうえで相手の課題や要望に理解を示すシーンで欠かせないでしょう。パートナーが自社を「自分たちのことをよくわかってくれるメーカーだ」と認識すれば、パートナービジネスは円滑に進むはずです。

多くの企業は商品・サービスの機能や価格で競合と差別化をはかろうとしますが、パートナービジネスの根幹は「コミュニケーション」にあるのです。パートナービジネスでは、パートナーが顧客に提案したいと思わなければメーカーの売上は伸びません。

本ガイドの『パートナービジネスで目指すべきは「パートナーサクセス」』でも紹介したパートナーサクセスを目指し、パートナーの営業担当者が売りやすくなる情報やセールスマテリアルを提供しながら、コミュニケーションを深めていきましょう。

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