パートナービジネスで目指すべきは「パートナーサクセス」

パートナービジネスに取り組むうえで、まず理解しておきたいのがパートナーサクセスの概念です。

パートナービジネスはパートナーと契約を締結したらパートナーが自動的に売ってくれるもの、というイメージがあるかもしれません。しかし、パートナービジネスの成功にはパートナーサクセスの考え方が欠かせません。

パートナーサクセスとは

パートナーサクセスとは、パートナーに新たな価値を提供し、メーカー・パートナー双方の事業成長に貢献するための取り組みのこと。メーカーがパートナーに提供すべき新たな価値は、企業や商品・サービスによって変わりますが、たとえば次のようなものが挙げられます。

▼パートナーが得られる価値の例

  • 競合優位性が得られる
  • 商材の導入支援やサポートを独自のメニューにして、追加の利益を生み出せる
  • 既存商材では解消できない顧客の「不」を解消できるようになる

パートナービジネスに取り組む際、多くのメーカーは自社の売上を伸ばすことだけに集中しがちです。しかしパートナービジネスで成功を収めるには、パートナーの事業も成長することが欠かせません。

メーカーの商品・サービスは、パートナーが取り扱う商材の一つでしかなく、パートナーは自社の事業成長に貢献しない商品・サービスは選ばないからです。したがって、メーカーはパートナーの事業成長にも意識を向けつづける必要があります。

また、ただ代理で販売活動を行ってもらうのではなく、パートナーとはビジネスパートナーとして対等な関係を構築しましょう。そのうえで、どうすればパートナーがもっと売りやすくなるのか、パートナーが今抱えている課題は何か、それをどう解消すればいいのかを常に考え、実行します。

パートナーの事業が成長すれば、メーカーの事業もおのずと成長します。パートナービジネスに取り組む際は、常にパートナーサクセスを念頭に置きましょう。

パートナーサクセス成功の定義

では、どのような状態にあればパートナーサクセスを実現できているといえるのでしょうか。ここではパートナーサクセス成功の定義を紹介します。

1.互いが成長する協力関係ができている

互いが成長する協力関係とは、メーカーとパートナー双方が成長できる状態を指します。具体的には、売上が伸びている、商品・サービスのシェアが拡大している、顧客数が増えているといったものです。互いが成長できる協力関係が、パートナービジネス成功の鍵。メーカー・パートナー間でスキルや知識を共有し、シナジー効果が生まれている状態を目指しましょう。

たとえば、クラウドFAXソリューションを提供するパートナーと経費精算クラウド・AI OCRのメーカーが協業すれば、顧客の請求書のデジタル化支援を通じて互いの市場価値を向上させられます。

また、組み込み型ハードウェアの専門パートナーとデータ分析IoTプラットフォームのメーカーが協力すれば、製造業に特化した革新的なIoTソリューションを開発し、新しい市場を切り開けるでしょう。このような連携は、双方の競争力強化と新規ビジネスの機会創出に直結します。

互いの弱点を補完し合い、強みをいかすことで、単独では達成できない目標に向かって活動していれば、ビジネスは加速度的に成長します。互いが成長する協力関係があれば、パートナーの満足度も高いはず。パートナー満足度を自社内の重要指標におき、アンケート調査、売上や案件数といったパフォーマンス指標、責任者によるヒアリングなどを通して確認しましょう。

2.継続的な関係を構築できている

2つ目は、継続的な関係性が構築できている状態です。先述したとおり、パートナーは多くのメーカーと販売代理契約を結んでいます。したがって、自社の商品・サービスの販売に注力してもらうためには、パートナーに「このメーカーとの関係は売上拡大に貢献する」「この商品・サービスを取り扱えば自社の事業にメリットがある」と認識してもらう必要があります。そのためにすべきことは、次の2つです。

  1. パートナーの事業における課題を理解し、課題を解決するための提案を行う
  2. パートナーが自社に期待することを理解し、期待を満たす行動をとる

指標としては、パートナーの事業成長率、年間取引額などが挙げられます。パートナービジネスに取り組む際は、これら2つの実現を意識しましょう。

図版:パートナーサクセス成功の定義と指標の例を整理した図
パートナーサクセス成功の定義と指標の例
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