はじめに、本ガイドにおけるパートナービジネスの定義、パートナービジネスのおもなプレイヤーとパートナーとの契約形態について解説します。
パートナービジネスの定義
パートナービジネスとは、メーカーが第三者のパートナーと協業して自社の商品・サービスを顧客に提供すること、提供する仕組みをつくることを指します。アメリカの調査会社であるForrester社の『Through-Channel Marketing Represents The Third Stage For Sales And Marketing Leaders』によれば、世界の商取引の75%がパートナーを経由しているものです。
日本でも、古くから多くのメーカーがパートナービジネスに取り組んできました。ディストリビューターや代理店卸と呼ばれるSB C&Sやダイワボウ情報システム、リセラーと呼ばれる大塚商会といった企業名を耳にしたことがある方も多いと思います。
メーカーがパートナービジネスに取り組む目的として、自社だけではリーチしきれない顧客に対して販路拡大を目指すことが挙げられます。国内には、直販体制だけではリーチしきれない顧客が多数存在するからです。336万者あるといわれる中小企業や小規模事業者、販売の窓口が固定化しがちな大企業などがわかりやすい例でしょう。
パートナービジネスにおけるメーカーの役割は、パートナーに新たな価値を提供し、パートナーのビジネスの成長に向けた仕組みをつくること。
詳しくはこのあと説明しますが、パートナーに自社の商品・サービスを売ってもらうためには、パートナーがその商品・サービスを担ぐ理由、売りたいと思う理由を磨かなくてはなりません。パートナーを単なる販売者として扱っていては、パートナービジネスで成功を収めるのは難しいでしょう。
※出典:中小企業庁:中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)の集計結果を公表します(中小企業庁)
パートナービジネスのおもなプレイヤー
パートナービジネスのおもなプレイヤーは、メーカー、パートナー、顧客の3つです。一口にパートナーといっても、さまざまな契約形態があります。
プレイヤー | おもな役割 |
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メーカー、ベンダー | 商品・サービスの開発を行う企業(自社) |
パートナー | メーカー、ベンダーの商品・サービスの販売を行う企業。さまざまな呼称・契約形態がある |
顧客 | メーカー、ベンダーの商品・サービスを購入・利用する人や企業(エンドユーザー) |
パートナーの提携形態と本ガイドの対象範囲
次の表のとおり、パートナーとの提携形態にはさまざまな種類があります。ただし、本ガイドでは、資本提携のないOEM、卸売(再販)、取次、紹介の4つにスコープを設定して解説します。
呼称 | おもな役割 |
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ディストリビューター | 一次パートナー。メーカーから商品・サービスを仕入れて、二次パートナー(リセラー)に卸す立場。リセラーとは厳密には異なるが、国内では同義語として語られることも多い |
リセラー、パートナー、特約店、代理店、セールスパートナー | メーカー、またはディストリビューターから商品・サービスを仕入れて顧客に販売する立場。仲介(エージェント)方式、再販方式がある |
ソリューションパートナー、システムインテグレーター(SIer) | メーカーから仕入れた商品・サービスを自社の商品・サービスと組み合わせて顧客に提案する |
OEMパートナー | メーカーの商品・サービスを自社ブランドとして販売する |
コンサルティングパートナー | コンサルティングを担う。システムインテグレーター(SIer)が兼ねる場合もある |
テクノロジーパートナー、 プロダクトパートナー | 技術支援のほか、メーカーの商品・サービスの機能拡張や連携する商品・サービスの開発を行う。販売はしないケースが多い |