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フリーランスの人は、 業務委託契約書でこの6つを押さえてほしい
小鷹龍哉

フリーランスの人は、 業務委託契約書でこの6つを押さえてほしい

クライアントからシステムの開発や保守運用を受託する場合、コンサルティング業務を受託する場合、さらには、クラウドソーシングを利用して一定の仕事を受注する場合など、現在のビジネス取引において、業務委託契約書の作成は必須となっています。

しかしながら、インターネットなどで出回っている業務委託契約書は、委託者側(クライアント側)であるのか、受託者側(フリーランス側)であるのかを明確に区別していないものがほとんどになっています。

フリーランス側として契約書を作成するにもかかわらず、クライアント側に不当に有利な契約書を使ってしまうと、以下のようなトラブルが発生してしまう可能性があります。

 

  1. 当初想定していなかったはずの業務の実施を強いられる
  2. もともと自分が持っていたノウハウまでクライアントのものになってしまい、今後、そのノウハウを利用してビジネスを行うことができない
  3. 過大な賠償義務を負ってしまう

 

そのため、どの条項が重要なポイントであるのかを理解した上で、自分の立場にとって有利な契約書を作成することがとても重要となります。

そこで、今回は、フリーランス側にとって有利な業務委託契約書を作成するにあたって、どのような点に気を付ける必要があるのか、条項案とその解説を踏まえて、見ていきたいと思います。

 

(1) 受託する業務の特定

(条項案)


  1. 委託者は受託者に下記記載の委託業務を委託し、受託者はこれを受託するものとする。

    委託業務:
    (1)●業務
    (2)●業務
    (3)●業務

    成果物: ●
    納入期限:●
    納入方法:●
    納入場所:●
    検査期間:●

  2. 受託者は受託者が適当と認める場所で委託業務を行うものとする。

(解説)
業務委託契約においては、「当初想定していた業務内容と異なる」、「実施予定の業務範囲には含まれていないはずだ」といったことから紛争が生じることが少なくありません。

したがって、業務委託契約書の作成にあたっては、業務の内容及び範囲をできるかぎり明確に記載することが重要となります。

また、業務委託契約では、システムの開発を受託する場合のように、成果物の納入が予定されている場合があります。このように成果物の納入が予定されている場合には、成果物の内容を特定するとともに、その納入方法、納入場所等についても規定しておく必要があります。

 

(2) 再委託の可否

(条項案)


第●条 再委託

受託者は、自己の裁量に基づき委託業務の全部又は一部を第三者に再委託することができるものとする。


(解説)
再委託の想定があるのであれば、受託者としては、上記のとおり、自由に業務を再委託できるようにしておく必要があります。

しかし、自由な再委託は受け入れてもらえない場合も多いです。そのような場合には、少なくとも現時点で具体的な再委託先が予定されていないかを検討し、予定されている場合には当該再委託先に対する委託は例外として許容される旨の同意を委託者から取得しておく必要があります。

 

(3) 成果物の納入・検収

(条項案)


第●条 成果物の納入

受託者は、第●条記載の納入期限までに委託業務を完了し、第●条記載の納入方法にて成果物を納入する。

第●条 成果物の検査

  1. 受託者が成果物を納入したときは、委託者は委託者所定の検査方法に基づき、速やかに当該成果物の受入検査を行い、その結果を受託者に対して通知するものとし、委託者から受託者に対する受入検査合格を証する書面の交付をもって当該成果物の検収は完了されたものとする。委託者は合理的な理由なく受入検査合格を証する書面の交付を拒んではならないものとする。
  2. 委託者は、前項の受入検査において成果物に瑕疵又は数量不足のあることを発見したときは、受託者に対して補修又は不足数量分の追納その他の必要措置を求めることができるものとする。この場合、受託者は合理的な期間内に、必要な措置を行うものとする。
  3. 前項に定める瑕疵又は数量不足の発見された成果物について、受託者が瑕疵補修又は不足数量分の追納等の必要措置を行った場合、委託者は速やかに再検査を行い、その結果を受託者に対して通知するものとし、委託者から受託者に対する当該再検査の合格を証する書面の交付をもって当該成果物の検収は完了されたものとする。
  4. 再検査において成果物に瑕疵又は数量不足が発見された場合には、第2項及び第3項の定めが準用されるものとし、その後の検査についても同様とする。
  5. 下記の場合には、成果物は検査に合格し、検収が完了したものとみなす。
    (1) 委託者が検査期間内に検査の合否を書面により受託者に通知しないとき。
    (2) 委託者が成果物について合理的な理由なく検査不合格の通知をなし、検査不合格の合理的な説明がなされないまま検査期間が満了したとき。

(解説)
成果物の納入が予定されている場合には、成果物の納入方法、納入場所等についても規定しておく必要があります。

特に、検収の完了が業務委託料の支払いの条件となっている場合には、どのような場合に検収完了となるのかを明確にしておく必要があります。

また、クライアントがいつまでも検収を実施しないため、検収完了とならず、業務委託料が支払われないといったケースを避けるため、第5項のような、みなし合格の規定(クライアントが検収期間内に合否の通知をしない場合など、一定の場合には検収に合格したものとみなす規定)を定めておいた方が安全です。

 

(4) 業務委託料の明確化

(条項案)


  1. 委託者は、受託者に対し委託業務の対価として、下記記載の業務委託料を、下記記載の支払期日までに下記記載の支払方法に従い支払うものとする。銀行振込手数料その他支払に要する費用は委託者の負担とする。

    業務委託料:●
    支払期日:●
    支払方法:●

  2. 受託者は、委託業務の遂行のために必要となる受託者の出張費用、宿泊費その他の諸費用を、第1項の業務委託料とは別途委託者に請求することができる

(解説)
業務委託料については、その金額、支払期日、支払方法等を明確に規定しておく必要があります。

また、旅費、通信費など委託された業務を行うにあたって生じた費用の取扱いについても、予め明確にしておかないとトラブルとなりますので、報酬とは別に請求できるのかを明確にしておく必要があります。

 

(5) 知的財産権の取扱い

(条項案)


第●条 知的財産権

  1. 委託業務の過程で生じかつ成果物に含まれる知的財産権は、業務委託料の支払の完了と同時に委託者に移転する。
  2. 前項の定めに拘らず、受託者が委託業務の着手前から有している知的財産権並びに成果物と同種のシステムに共通に利用されるノウハウ、ルーチン及びモジュールに関する知的財産権は受託者に留保され、受託者はこれらを利用して自由に他の業務を行うことができるものとする。

(解説)
受託者としては、知的財産権は一切移転しないとしておくことが最も有利です。
しかし、このような内容は現実的には委託者に受け入れられないことが多く、また委託者の依頼を履行する過程で発生した知的財産権は受託者にとっては使い道がない場合もあります。

そのため、原則として知的財産権は委託者に移転するとした上で、委託業務の着手前から有していた知的財産権や他の案件に流用できるような知的財産権については、委託者に移転せずに留保される旨を規定し、今後のビジネスに支障が生じないようにしておくことが重要となります。

 

(6) 損害賠償

(条項案)


第●条 損害賠償

本契約の当事者が、本契約に関連して相手方に損害を及ぼした場合には、その損害を賠償する責任を負うものとする。但し、本契約に関する受託者の賠償責任は、直接かつ通常の損害に限り、逸失利益、事業機会の喪失等の間接的な損害は含まないものとし、また、受託者の賠償責任は、損害賠償の事由が発生した時点から遡って過去●ヶ月間に委託者から現実に受領した業務委託料の総額を上限とする。


(解説)
委託している業務が期限通りに完成しなかった場合など、受託者が負っている債務に債務不履行があった場合、委託者には様々な損害が発生する可能性があり、このような損害について、受託者が常に責任を負わなければならないとすると、受託者の損害賠償の範囲が際限なく広がってしまう可能性があります。

したがって、受託者としては損害賠償の請求を受けた場合に備えて、①責任を負う損害賠償の範囲を制限するとともに、②損害賠償の額が高額とならないように上限額を設けておくことが重要となります。

小鷹龍哉

ベンチャー企業のサポートを専門としており、利用規約・契約書の作成、ビジネスモデルの法務チェック、ファイナンスサポート、M&Aや上場審査のサポート等、ベンチャー企業に関する法務を全般的に取り扱っている。

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