コーポレートIT領域を中心としたITサービスを手がける、PSソリューションズ株式会社様。ソフトバンクのグループ企業支援で培われたIT運用の知見をいかし、情シスBPOサービスのIT withを展開しています。事業拡大に向けて高い目標を設定するも、営業のリソースに限りがあり、アウトバウンド営業中心で拡販をする難しさに直面していました。
才流では、課題を4つのプロジェクトに分解してご支援。なかでも取り組みの中心となったのが、拡販強化に向けた戦略策定とセールスイネーブルメントです。戦略策定プロジェクトではIT withがお客様に提供する価値を再定義し、インバウンドでリードを獲得するための体制を構築。セールスイネーブルメントのプロジェクトではトップ営業のノウハウを型化し、新人が早期に自走できる育成環境を整備しました。
IT with事業推進部にて、事業を統括する藤田さん、戦略担当の髙橋さん、営業担当の高田さんにプロジェクトでの気づきや、プロジェクトが組織にもたらした変化についてお話を伺いました。

プロジェクト概要
| 企業名 | |
|---|---|
| 会社概要 | 業種:IT |
| ご支援内容 | BtoBマーケティング戦略策定・セールスイネーブルメント |
| ご支援対象の商材 | |
| ご支援期間 | 4か月 |
| ご支援前の状況 |
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| プロジェクトのサマリ | 【BtoBマーケティング戦略策定】
【セールスイネーブルメント】
|
ソフトバンクのグループ企業支援で培われたノウハウを武器に、情シスを支援
ー 今回、ご支援したIT withはどのようなサービスですか。
藤田 IT withは、情報システム部門の業務を幅広く支援するBPOサービスです。そのルーツは、ソフトバンクのグループ企業のIT・情シス業務を支えてきた経験にあります。グループ各社のさまざまなIT環境や課題に向き合うなかで培ってきたノウハウをサービスとして体系化し、現在ではグループ外のお客様にも提供しています。
IT withの特徴は、単に日々の業務を代行するだけではなく、お客様のIT環境そのものを一緒に整えていく「伴走型」の支援にあります。PCのキッティングやヘルプデスク、アカウント管理、IT資産管理といった日常的な運用業務を幅広くカバーしながら、複雑化・属人化しがちなIT環境や業務プロセスを専門家の視点で整理し、お客様とともにより良い運用の形を設計・改善していきます。
私たちIT with事業推進部は、このIT withというサービスを事業として成長させ、お客様に届けていく役割を担っています。事業推進における戦略策定からマーケティング、営業、お客様への導入に向けた業務・運用設計、そして導入後の日々のオペレーションまで、一連のプロセスを1つの部門で担っていることも特徴です。

高い目標に挑むため、グループ外への販売を強化したい
ー 才流にご相談いただく前は、どのような課題がありましたか。
藤田 ソフトバンクのグループ企業へのご支援は順調に進んでいたのですが、グループ外のお客様へのアプローチはアウトバウンド営業が中心。限られた営業リソースで事業を拡大するには、新たな顧客接点をつくる必要がありました。
加えて、次年度にはこれまで以上に高い事業目標が掲げられていたんです。その達成に向けて、顧客獲得の仕組みそのものを変えていこうと考えました。そこで本格的にBtoBマーケティングに取り組み、Web広告なども活用しながら、継続的にお客様との接点を生み出せるインバウンドの仕組みづくりを進めることにしました。同時に、IT withの価値をどのように伝えていくのか、サービスの訴求も見直したいと考えていました。
もう1つの課題が、営業活動の「再現性」です。営業個人の経験やスキルに支えられている部分が大きく、成果の出し方を組織として十分に共有・体系化できていませんでした。事業を継続的に成長させるには、特定のメンバーの力に依存するのではなく、成果につながる営業プロセスやノウハウを組織の共通資産にしていく必要があります。
そこで、マーケティングによって新たな顧客接点を生み出す仕組みと、誰もが成果につなげやすい営業の型をつくること。この2つを両輪で進め、組織全体として営業・マーケティング力を底上げしていこうと考えました。
ー 才流には、どのような経緯でご相談いただいたのでしょう。
藤田 実は最初は、Webマーケティング施策の相談をしたくて、才流さんを含めた複数社にお声がけをしたんです。最終的に他社様を選定したのですが、コンペで才流さんからいただいた提案内容が非常に解像度高く、印象に残っていました。ちょうど次年度の高い事業目標を見据えて、IT withの今後の戦略を考えていたところだったので、戦略立案の支援をお願いしたいと、改めてお声がけしました。
髙橋 私は戦略推進課でマーケティングや戦略策定を担当しているので、以前から才流さんのコンテンツを参考資料として活用していました。ナレッジの質の高さを知っていたことも、強い信頼感につながっていましたね。期待する成果物と、実際に納品される成果物のギャップが極めて少ない点は、才流さんの特徴だと思います。

ー 才流との取り組みを通じて、どのようなゴールを描いていらっしゃいましたか。
藤田 次年度に組織体制の変更を控えていたので、組織全体が共通言語を持ち、一枚岩となって目標に向かえる状態をつくりたい。メンバーが日々の業務で迷ったときに立ち返れる、戦略の軸をつくりたいと考えていました。
また、もう1つのゴールが、成果につながる営業の型をつくること。個々の経験やスキルだけに頼るのではなく、誰が担当しても一定水準の営業活動を実践できる、再現性のある仕組みを整えることを目指しました。
拡販強化のための戦略立案と、セールスイネーブルメント
ー PSソリューションズ様からのご相談を受けて、才流ではどのような提案をしましたか。
萩原 次年度の高い事業目標を達成するには、スピード感をもって課題を整理し、解決する必要がありました。
そこで、いただいた課題群を「拡販強化のための戦略策定」「提携パートナー開拓」「ターゲット領域の拡張検討」「セールスイネーブルメント」という4つのプロジェクトに分解し、並行して進める方針を提案しました。1つのプロジェクトが終わってから次に進むやり方では、デッドラインに間に合わなくなってしまうからです。
私が担当した拡販強化プロジェクトでは、IT withの価値やポジショニングを言語化し、その内容をセールスイネーブルメントのプロジェクトへと引き継ぐことで、売上拡大の土台づくりを目指しました。

ー IT withの拡販強化プロジェクトは、どのように進めましたか。
萩原 最初に行ったのは、IT withの強みを把握するための初期調査です。導入企業様へのインタビューで、導入の意思決定に至るまでの流れを把握。あわせて競合サービスの調査、見込み顧客インタビューを実施しました。
そこから「単なる作業代行ではない、改善提案ができるブレイン型の情シスBPO」という独自のポジショニングを再定義・言語化していきました。
続いて行ったのが、マーケティングチャネルを使ったリード獲得の支援です。アウトバウンド営業が中心の状況から脱却すべく、Web広告やランディングページの最適化、ホワイトペーパーで検討意欲の高い層を取りこぼさずに商談につなげるための施策をプランニング。実行に向けて走り出せる状態まで伴走しました。
ー セールスイネーブルメントのプロジェクトは、どのように進めましたか。

宮戸 萩原が先行して固めていた「ブレイン型情シスBPO」という提供価値を、営業現場がしっかりと伝えられるように、各種トークや営業プロセスの型化を推進しました。
印象的だったのが、トップ営業の方がお客様との対話のなかでニーズを的確に捉え、柔軟に提案を組み立てながら成果を上げていたことです。経験やスキルがあるからこそ、状況に応じて最適な判断ができる営業スタイルでした。
一方で、組織として継続的に成果を上げるためには、そうしたノウハウを個人のなかだけにとどめず、誰もが活用できる形にする必要があります。そこで、商談で確認すべきポイントや提案の進め方を整理し、誰が担当しても一定水準の営業活動を実践できるプロセスへと落とし込んでいきました。
具体的には、全3回の商談で確実にクロージングまで導く、商談の階段設計を行いました。初回商談で特定すべきヒアリングの項目を固め、顧客の懸念を打ち返す応酬話法も作成。最終的に「IT withプレイブック」として、140ページを超えるスライドにまとめました。
また、今後インバウンドからのリードが増えていくことを見据え、商談準備の効率化にも取り組みました。生成AIを活用してお客様の事業や業界、想定される課題などを事前に整理できるプロンプトを作成し、10分程度で商談に必要な顧客理解を深められる仕組みを整えました。

サービスの提供価値を再確認。営業が実感した型化の大切さ
ー プロジェクトを通じて、どのような気づきや発見がありましたか。
髙橋 マーケティング戦略を立案する際、しっかりと市場環境を分析してからペルソナを定義し、それに合わせた訴求コンセプトを考える。丁寧なプロセスを踏んで議論し、詰めていったことが印象的でした。
思い返すとIT withを立ち上げてからは、全力で走りながらサービスをアップデートしてきたんですよね。だからこそ、ここで一度立ち止まって状況を整理し、サービスの提供価値を言葉にする。このプロセスそのものが、組織にとって大きな気づきになったと感じています。
藤田 まさに、自分たちがこれまで取り組んできたことに対する答え合わせができたような感覚でしたね。競合他社を理解したうえで、自分たちがどのポジションを取るべきか、腰を据えて議論できた。進むべき道が整理され、部としての戦略の腹落ち感が格段に強まりました。
高田 私は営業を担当しており、セールスイネーブルメントのプロジェクトに関わりましたが、気づきは大きく2つありました。1つは、「強い営業組織には属人性を排除した明確な型がある」ということです。型があるからこそ、新しい人が入ってきても、同じレベルの営業ができる。属人化が課題だった私たちの営業組織にとって、この再現性の担保という考え方は、大きな発見でした。
そしてもう1つが、明文化がもたらす現場の安心感です。たとえば、商談でお客様から懸念点を指摘された際、納得感のある回答をする応酬話法が、これまでは個人のスキルや感覚に依存していました。トップ営業の切り返し技術を応酬話法マニュアルに落とし込み、組織の共通ルールとして定めていく。こうした武器によって誰もが高いレベルの営業をできるのだと、明文化の大切さを痛感しました。

ー プロジェクトを通じて、手応えややりがいを感じた瞬間はありましたか。
藤田 今回のプロジェクトで整理した戦略や成果物を、部会でメンバー全員に共有する機会がありました。競合環境や市場における自社サービスの位置付けを俯瞰したうえで、IT withが今後どこを目指し、その実現に向けてどのような戦略をとっていくのかを改めて共有したんです。
するとメンバーから、「事業として目指す方向と、自分の業務がどうつながっているのかがより明確になった」とか、「個々の取り組みを事業全体のなかで捉え直すことができた」と前向きな声を多くもらいました。
マーケティング戦略や営業戦略を方針として示すだけでは、必ずしも一人ひとりの日々の業務や意思決定までつながるとは限りません。今回のプロジェクトでは、マーケティングや営業、運用といったそれぞれの活動を1つの戦略のなかで整理し、事業に関わるメンバーが戦略を自分ごと化し、部全体が一枚岩になって共通認識をつくることができた。組織全体が同じ方向に歩み始めた手応えを感じた瞬間でした。
迷いのないマーケティング施策と運用担当の自発的な意識改革
ー プロジェクトによる成果について聞かせてください。
髙橋 マーケティングの観点では、才流さんと一緒に検討した戦略に基づいて、施策の実行フェーズへと進むことができており、インバウンドでの新規リードも生まれています。
昨年度はリソースの兼ね合いでマーケティング戦略の検討と施策の実行をする余力がなかったんです。それが今は、比較サイトへの情報掲載や、ホワイトペーパーの導線改善、Web広告の出稿といった施策をスピード感をもって実行できています。
広告は出稿を始めてまだ数週間ですが、初速としては順調です。何よりペルソナや訴求軸が固まったことで、迷いなく実行に集中できる変化を感じています。
藤田 部全体の視点では、サービスの核を担う運用部隊が、日々の業務と事業戦略とのつながりをより明確に捉えられるようになったことも、大きな成果だと思います。
プロジェクトを通じて、IT withの価値は「単なる作業代行ではなく、お客様のIT環境を整理し、より良い状態を提案するブレイン型の情シスである」と再定義しました。営業も商談で、「私たちは現状の整理から改善提案まで伴走できるパートナーです」と訴求して受注をいただいています。
自分たちの日々の業務や改善提案が、そのままIT withの提供価値につながっている。その認識がより明確になったことで、運用部隊からも「お客様への改善提案件数を目標として掲げよう」といった声が自発的にあがるようになりました。

ー 営業観点での成果についても聞かせてください。
高田 私たちの営業組織は、主にアポイントを獲得するインサイドセールスと、獲得したアポイントから商談を行うフィールドセールスに分かれています。
インサイドセールスに関しては、才流さんと作成した応酬話法マニュアルが現場でかなり機能しています。お客様からの鋭い質問に、論理的に打ち返せるようになり、アポイントの獲得率が向上しています。
またフィールドセールスについても、サービスの提供価値を正しく伝えるために説明資料をアップデートしました。お客様のペルソナに合わせて、IT withの強みが直感的に伝わる資料になり、今後の商談がしやすくなるのではと期待しています。
さらに、今回取り組んだ型化は新人育成にも大きく寄与すると考えています。
IT withは、情報システム業務全般を支援するため、対象領域が非常に幅広いんです。他社ツールも含めて提案するため、新人の立ち上がりにかなりの時間がかかっていました。今回、才流さんと営業の型を体系化したプレイブックを作成したことで、新人の教育環境が整いました。近く新メンバーが加わる予定なので、プレイブックがどう機能するか楽しみです。
全員が前のめりに参加し、納得感ある共通認識をつくりあげた
ー 才流のコンサルタントから見て、プロジェクトで印象的だったことを教えてください。
萩原 プロジェクトによって現場の認識に変化があり、実際に新規リードの獲得にもつながっていると伺い、とてもうれしいです。今回のプロジェクトを振り返って印象的だったのは、みなさんの当事者意識の高さと事業への熱量でした。
定例ミーティングにはマーケティング担当の髙橋さんだけでなく、営業や企画担当の方まで、多くの方がご参加くださいました。そして私たちが提示したメソッドや提案をIT withにどう昇華させるか、積極的に考え、議論をしてくださいました。みなさんの前のめりな姿勢が、今回のプロジェクトを納得感の高い、素晴らしいものにしてくれたと感じています。
4つのプロジェクトが並走する座組でしたが、藤田さんが各プロジェクトにメイン担当者をしっかりと采配してくださったことで、スピード感を損なうことなく伴走することができました。
宮戸 私が印象的だったのは、営業とマーケティングの連携です。多くの企業で陥りがちな、サイロ化が一切なかった。みなさんが密にコミュニケーションをとってくださったのでとても進めやすかったです。
セールスイネーブルメントのプロジェクトではIT withの本質的な価値を言語化し、認識合わせができました。営業の進め方や具体的な商談内容は事業のステージや市場環境に応じて変わっていくものです。しかし、IT withが提供する価値の本質は変わりません。変わらない部分を定義し、これからアップデートを重ねていくためのきっかけを一緒につくりあげることができました。とても意義深いプロジェクトだったと感じています。

プロジェクトで整えた70点の土台を、創意工夫で100点へ
ー 最後に、今回の取り組みをどのように発展させていきたいか、今後の展望について聞かせてください。
藤田 今回は、マーケティング戦略の策定から営業の型化まで、全部で4つのプロジェクトを並行して走らせるという、タフなチャレンジでした。しかしどのプロジェクトについても、それぞれが描いたゴールを達成できたと感じています。
何より大きかったのは、IT withという事業の周辺環境や提供価値、そして進むべき方向性を解像度高く整理し、まとめていただいたことです。これによって事業推進のベースラインは、誰がやっても合格点である70点の水準まで担保できるようになりました。
今後は整理された戦略を、事業に関わるメンバーそれぞれにしっかりと落とし込み、組織の共通言語としてより深く浸透させていきたいです。そして各自が現場で知恵を絞り、残りの30点を埋める創意工夫を重ねていく。こうして現場からあがってきた多様な工夫を再び組織のナレッジとして組み合わせることで、70点の土台を80点、90点、そして100点へとアップデートしていきたいと考えています。
今回、才流さんとつくりあげて手にした武器をもとに、組織が一丸となってIT withをさらに大きく成長させていきたいです。

撮影:西村 法正
取材・執筆・編集:藤井 恵
撮影場所:WeWork 東京ポートシティ竹芝