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BtoBマーケティング

複数商材を扱うCTCの全社レベニュー組織は、営業に貢献するメルマガをどう設計したか

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

業種

ITサービス

従業員数

5,000名以上

通信・金融・製造・公共機関など幅広い顧客にソリューションを提案する、マルチベンダー・システムインテグレーターの伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下CTC)様。

これまで各事業部がそれぞれの強みをいかして営業活動を推進し、着実に成長を遂げてきました。さらなる成長に向けて、全社横断組織としてCRO(Chief Revenue Officer)グループを新設し、収益最大化に向けた営業支援に取り組んでいます。

同グループでは、顧客接点創出のため全社メルマガの配信をスタートしました。しかし全社横断での取り組みとして体系化の余地があり、さらなる高度化が求められていました。

今回のプロジェクトでは、インタビューを通じて顧客の解像度を高め、メルマガ施策の全体戦略を設計。チームが自走できる体制構築を目指しました。

結果、全社メルマガ最適化の土台ができ、メンバーが主体的に意見を出す、自走するチームへと進化を遂げています。

同グループの保坂さん、木本さんに、プロジェクトで得られた手応えや、CROグループの展望について話を伺いました。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社CROグループの保坂正樹さんと木本惠太さん
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 CROグループ 全社営業トランスフォーメーション推進部 部長代行 保坂 正樹さん、CROグループ 全社営業トランスフォーメーション推進部デマンドジェネレーション課 主任 木本 惠太さん

プロジェクト概要

企業名

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(略称CTC)

会社概要
  • 業種:ITサービス(情報通信)
  • 従業員数:12,862名※CTCグループ全体(2026年4月時点)
ご支援内容

BtoBマーケティング施策実行の伴走支援

ご支援期間

6か月

ご支援前の状況
  • 新設の全社横断組織のためメルマガ配信のノウハウがなく、試行錯誤で進めていた
  • ターゲット顧客のペルソナを定義しきれていなかった
  • 長期的な配信計画を立てたいと考えていた
  • チーム内の前提知識にばらつきがあり、活発な議論が生まれにくかった
プロジェクトのサマリ
  • 見込み顧客へのインタビューを実施し、カスタマージャーニーマップと階段設計を作成
  • 顧客視点に基づいたメルマガの戦略を設計
  • ABテストを繰り返し、成果を最大化するメルマガフォーマットの最適解を発見
  • AIを活用して運用の自走化にも挑戦

全社横断のレベニュー組織「CROグループ」とは

CROグループは新設の組織と伺っています。誕生の背景について聞かせてください。

保坂 CRO(Chief Revenue Officer)グループは、会社の収益最大化を目指す組織として2024年に新設されました。

これまで当社は、産業別に構成された4つの事業グループが、それぞれの強みをいかし、売上・利益を伸ばしてきました。事業グループごとの取り組みは、間違いなく当社の成長の土台となっています。

そして私たちは、ここからさらに数字を伸ばし、会社として大きく成長するために、全社的な視点で戦略・施策を設計する役割を担っています。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 CROグループ 部長代行 保坂正樹さん
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 保坂 正樹さん

具体的に、どのようなミッションを担っていますか。

保坂 ミッションは、徹底的な営業支援で売上・利益に貢献することです。

当社では、営業におけるほぼすべてのプロセスを営業組織が担っています。プロセスの分業化で負荷を少しでも減らし、営業がコア業務である提案や商談に注力できる環境をつくり、より利益率の高い案件にトライしてもらいたい。そのために私たちは、営業活動で得られた顧客情報を活用し、顧客接点の創出に取り組んでいます。

また、マーケティングや営業、カスタマーサクセスに至るまでの全プロセスを横串でつなぐために、全社的な顧客情報を一元化する仕組みづくりにも注力しています。

試行錯誤によるメルマガ運用に課題感。体系化が必要だった

CROグループを立ちあげてからは、どのような課題がありましたか。

保坂 これまで、営業支援は事業グループごとに行っており、全社横断で取り組むのは初めての試み。手探りの状態でスタートしました。じっくり計画をする余裕もなく、「走りながら考えて、成果を出す」スタンスで、さまざまな施策を進めてきました。そんななかで、とくに体系化する必要を感じたのがメルマガです。

メルマガでは、具体的にどのような課題がありましたか。

木本 これまでメルマガは事業グループごとに、セミナーの告知を中心に配信していました。全社横断で配信するにあたり、どのように目標を立て、どんなコンテンツを配信したらいいのか、判断が難しいと感じていました。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 CROグループ 主任 木本惠太さん
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 木本 惠太さん

いろいろな施策が動くなかで、とくに課題が大きいのがメルマガだったんですね。

保坂 そうです。メルマガの施策を動かすにあたり、社内調整のハードルもありました。

全社メルマガの配信には、営業活動で得られた顧客情報を活用しています。そのため現場からは、「情報提供の意義は理解できるが、情報過多になってしまうのではないか」という懸念の声も多くあがっていたんです。

これは営業視点では、至極まっとうな主張です。そもそも当社で扱う商材は数百にのぼります。自分の担当顧客に、関係のない商材の案内が送られてしまう可能性があるわけですから。そこで、全社メルマガは「月に2回までの配信」という前提条件を設けて運用を開始しました。

外部に支援を依頼する際、こうした現場の状況を理解しながら支援してくれる会社として、まっさきに候補にあがったのが才流さんでした。以前、Webサイト構築の際も支援をお願いしていて、当社に合わせた柔軟な対応が、メンバーにも評判だったんです。情報量・経験値も豊富なので、今回もお願いすることになりました。

※関連記事:CTC様事例 オンライン商談による顧客解像度の低下を懸念。顧客との質の高いコミュニケーション設計を支援

前提知識や顧客理解を深め、メルマガ施策の土台を構築

— CTC様からのご相談を受け、才流はどのような支援を行いましたか。

後藤 はじめに取り組んだのは、チーム内の前提知識をそろえるための、メルマガ勉強会です。メルマガの役割や、基準とすべき数値、PDCAの回し方など基礎的な情報を解説いたしました。

その後は、CTC様がメルマガの運用で自走するための「型づくり」をご支援しました。型に沿って運用することで、経験の有無にかかわらず、一定の成果が出せる状態をつくるためです。

具体的には、タイトルの出し方や、HTML形式かテキスト形式かといったデザインパターン、リンクの設置方法など。ABテストを繰り返し、最も反応が良いメルマガフォーマットの最適解を導き出しました。

才流シニアコンサルタント 後藤亮輔
才流シニアコンサルタント 後藤 亮輔

後藤 ただ、メルマガの効果を高めるには、型があればいいわけではないんです。

そもそも顧客は、どんな情報を求めているのか。情報収集チャネルとして利用されているのか。どのようなシーンで閲覧されるのか。そうしたことを緻密に把握しておかなければ、効果を最大化できないからです。

そこで、マーケティングの全体戦略の再設計に着手。顧客の解像度をあげるべく見込み顧客インタビューを実施し、ペルソナやカスタマージャーニーマップの策定、コミュニケーションの階段設計なども行いました。

戦略設計のアウトプットは、チームの共通言語になります。メルマガだけでなく、ほかの施策を実行する際にも迷わず判断ができる、指針になることを目指しました。

※関連記事:階段設計とは?BtoBマーケティングで商談・受注数を最大化するポイントを解説【ワークシート付き】

課題に対する最適解を模索し、意見を出しあえるチームへ

— プロジェクトを通じて、新しい気づきはありましたか。

木本 どのような顧客に、どのタイミングで、何のコンテンツを届ければいいのか。顧客視点での発想を得られたことは、大きな気づきでした。

これまでは全社横断組織として、数百にのぼる商材を扱いながら、当社が注力する「AI」「クラウド」「データ活用」「セキュリティ」という4つのカテゴリーをまんべんなく案内する必要がありました。配信は月に2回までという前提もあったので、どうしても広く浅い内容のメルマガになってしまっていたんです。

しかし才流さんから「まずはターゲットを絞りましょう」とアドバイスをもらいました。たとえば、「セキュリティ」がテーマの回ならば、セキュリティに興味がある人だけが開封してくれればいいと。

多くの人に開封してもらうことよりも、ターゲットを絞ってでも、商材の検討度合いが高い人にしっかり読んでいただくほうが価値がある。この発想の転換は大きな気づきでした。

またメルマガは配信して終わりではなく、その施策がどう営業活動に役立ち、売上につながるのかも重要です。導線を逆算して設計する考え方も勉強になりました。

— プロジェクトを通じて、難しかったことや、壁にぶつかったことなどはありましたか。

木本 顧客にメルマガを読んでいただき、営業に貢献するというのは、そう簡単なことではありません。今回のプロジェクトは土台づくりのフェーズだったので、ほんとうの壁を迎えるのはこれからだと思っています。

小さいながらも感じた壁を挙げるなら、理想と現実のギャップでしょうか。

才流さんからは、「1通のメルマガで紹介するコンテンツは1つに絞るべき」と教えてもらいました。ただ先ほども申し上げたように、当社側にはどうしても、複数のカテゴリーのコンテンツを案内せざるを得ない事情もありました。

そうした前提のなかで、才流さんと一緒にさまざまな検討を行い、ABテストを繰り返し、最適な型を見つけられたことは良かったです。才流さんの柔軟な伴走支援には、ほんとうに助けられました。

— 逆にうれしかったことや、手応えを感じた瞬間はありましたか。

木本 やはりメルマガを配信して反応が良かったときは手応えを感じた瞬間です。セミナーの申し込みや資料のダウンロード数が伸びたとき、問い合わせにつながったときは達成感がありました。

また、成果をきっかけにチーム内で「なぜ今回はうまくいったのか」「どうすれば再現できるか」とポジティブなディスカッションが生まれたことも非常にうれしく、大きな手応えを感じています。

後藤 私は木本さんご自身の変化も感じました。

プロジェクトの前半は、私との壁打ちで一つひとつ丁寧に確認をしながら前に進んでいるという印象だったんです。ところが後半になるにつれ、「こう考えている」「こうしたいが、どう思うか」とご自身の意見をお伝えいただけることが増えた。その姿に、私自身も鼓舞されました。

オプトアウトやクレームのリスクが低いことを数字で示す

— 今回のプロジェクトによる成果について聞かせてください。

保坂 営業が持つ顧客情報は会社の資産であり、顧客に価値ある情報を届けることは社内の誰もが賛成しています。ただ、実際に全社でメルマガを配信すると、情報過多になり顧客に迷惑がかかるのでは、と心配する声もある。これまでは、そうした懸念を払拭する方法がありませんでした。

しかし、今回のプロジェクトでは、約20回のテストでオプトアウト(購読停止)率が非常に低いことを数字で示せました。懸念されていたクレームはほぼありません。リスクの低さを確認できたことは、私たちにとって大きな一歩です。

ただ、今はあくまで数字をベースに「リスクは低いですよ」と言えるようになった段階です。これからはメルマガをきっかけに、顧客接点をつくり、商談につなげる。営業活動に役立つ成果を1つずつ積み上げていきたいと考えています。

木本 私たちの意識が変化したことも、今回のプロジェクトによる成果の1つと感じています。

メルマガ配信を始める前は、「なかなか見てもらえないのではないか」という感覚が少なからずありました。

しかし配信を重ねてデータが集まってくると、想像以上に多くの方が読んでくださっているという実感を得られるようになりました。

さらに顧客は、「興味のある内容かどうか」で開封を判断していることも見えてきました。件名やコンテンツの工夫次第でしっかりと顧客に情報が伝わる。その実感を得られたことは大きな収穫でした。

— プロジェクトスタート時と比較して、組織として前進している実感はありますか。

保坂 前進していると思います。私たちのグループでは、メルマガ以外にもWebサイトの改善やインサイドセールスなど、営業に価値ある顧客接点を届けるためのデマンドジェネレーションの仕組みづくりを進めてきました。

メルマガでWebサイトをご案内し、セミナーに申し込んでいただく。セミナーに参加された方にはインサイドセールスがフォローコールを入れ、「実は今、こんな課題があって」と生の声を引き出して営業へトスアップする。

2年前から仕込んできたそれぞれの施策が徐々に高度化し、一つひとつが有機的につながり始めています。営業を徹底的に支援する仕組みが、組織としていよいよ回り始めたと感じています。

岸田 みなさんが目指しているのは「営業が攻めやすくなるためのホワイトスペースを見つけられる組織」ですよね。そのための仕組みが、着実に形になってきていると私も感じています。

才流シニアコンサルタント 岸田慎平
才流シニアコンサルタント 岸田 慎平

顧客情報を一元化し、営業の成果にコミットしたい

— CROグループでは、今後どのような取り組みを考えていますか。

保坂 私たちは今まさに、マーケティングから営業、カスタマーサクセスまでを網羅する、全社的な顧客情報を一元化する仕組みを構築している最中です。今後はこの仕組みを活用し、成果につなげていくことが一番の注力ポイントです。

一般的なマーケティング組織は、「マーケ側が考えるベネフィットを営業に提供する存在」と思われがちですよね。でも私たちは違います。本部のトップをはじめ、私も木本も、全員が営業出身です。

営業が行きたいところに、持っていきたいものを用意する。そのために今回取り組んだメルマガをはじめ、営業に渡せる武器を着々と増やしている状況です。そして今、ブレイクスルーの兆しがようやく見え始めている。営業のみなさんにはぜひ、期待していてほしいです。

後藤 メルマガの安定運用という「点」からスタートしたプロジェクトですが、点を突き詰めるほど、周辺の「面」も連動して変えたほうがいいと、少し踏み込んで提案することもありました。御社への理解もより深まってきたので、今後は一層深い支援ができるよう、伴走を続けていきたいです。

撮影:西村 法正

取材・執筆・編集:藤井 恵

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