2020年1月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大をうけ、東京ビッグサイトや幕張メッセなどの会場で開催されるオフライン展示会の中止や延期が相次ぎました。これをきっかけに、オンラインのマーケティング施策に本格的に取り組みはじめたという企業も少なくないでしょう。
2024年現在、オフライン展示会の賑わいはコロナ禍前の様子に戻っているようにも見えますが、実態はどうなのでしょうか。
才流では、2024年現在の展示会出展の状況、およびコロナ禍中のマーケティング施策について探るために「展示会出展の実態調査」を実施しました。調査の対象は、以下の条件をいずれも満たす20〜60代の会社員男女300名です。本記事では、調査内容と得られた示唆を解説します。
- 展示会出展内容の企画・予算策定、または支援会社の選定に関与している
- 現在、所属している事業部・部署で年に1回以上展示会に出展している
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展示会への出展回数と年間予算はコロナ禍前の水準へ
はじめに、2019年から2024年の展示会の出展回数と年間予算について年度別に聞きました。出展回数、年間予算ともに2020年、2021年は減少しましたが、2023年以降は回復傾向にあります。
出展回数
出展回数は、2019年は「0回」が17%だったのに対し、2020年は40.7%に急増。要因として、新型コロナウイルスの影響で、多くの展示会が中止・延期されたことが考えられます。
また2021年、2022年も依然として「0回」の割合が高いですが、2023年には11.7%と大幅に減少。2023年以降は多くの企業が展示会出展を再開したことがうかがえます。そして2024年には「6回以上」が11%と2019年と同程度まで回復。コロナ禍前の水準に戻りつつあることがわかりました。
年間予算
年間予算は、2020年、2021年に「0万円」の割合が高まり、それぞれ26%と30.3%に。新型コロナウイルスの影響で展示会への出展を控え、予算が削減されたことが見てとれます。
そして2022年を境に再び予算が増加し、2023年、2024年には「0万円」の割合が8.7%、7.7%と減少。とくに「5,001万円~1億円未満」や「1億円以上」の割合が増加し、展示会への投資が再開されたことがわかります。
なお、金額がコロナ禍以前と比べると増加傾向にも見えますが、これは出展への投資を増やした側面と、昨今の物価高や人件費高の影響も考えられます。
展示会の代替施策として、多くの企業がオンライン広告やオンライン展示会に注力
コロナ禍で展示会出展が難しかった時期には、どのようなマーケティング施策に取り組んだのか、あるいは取り組まなかったのか。代替施策の取り組みの有無と施策の具体的な内容について質問しました。
6割以上が展示会の予算分を他のマーケティング施策に充当
「コロナ禍で展示会出展が難しい時期(2020年~2023年)は、他のマーケティング施策を強化しましたか?」という質問に対しては、「展示会の予算分を他の施策に充てた」と回答した人が51%で最多。また「展示会の予算以上を投じて、他の施策を強化した」と回答した人が12%となりました。
6割以上が展示会の予算分以上を他の施策に充当しています。コロナ禍で展示会に代わる施策が必要とされたことから、展示会が企業にとっていかに重要なマーケティングチャネルであったかが浮き彫りになりました。
注力したマーケティング施策の上位はオンライン広告とオンライン展示会
では、展示会の予算分以上をどのような施策に充てたのでしょうか。
「展示会の代わりに強化したマーケティング施策をお答えください。」という質問に対しては、「リスティング広告・ディスプレイ広告(Google、Yahooなど)」「X(旧:Twitter)、FacebookなどのSNS広告」「業界媒体のWeb広告、メール広告」といったオンラインの広告、および「オンライン展示会への出展」などの回答が並びました。
そして上記のうち、「とくに注力したマーケティング施策を3つ以内で教えてください。」という質問では、「リスティング広告・ディスプレイ広告(Google、Yahooなど)」が目立つ結果となりました。
注力した施策について、半数以上が満足
展示会の代わりに注力した施策の手応えはどうだったのか。代替施策の満足度について聞いたところ、半数以上が「満足」と回答しました。
半数以上が代替施策に満足
「強化した施策(上で選んだ3つについて)の満足度を教えてください。」という質問に対しては、「大変満足」(10.6%)、「満足」(49.2%)と、半数以上が満足していることがわかりました。
満足度が低かった「不満」「大変不満」と回答した人は7.3%と低いものの、「どちらでもない」と回答した人は33.3%。明確な意見や確信を持っていない人が一定数おり、効果測定の方法や指標に課題があると推察できます。
満足しなかった理由は「成果がよくわからなかった」
上で「どちらでもない」「不満」「大変不満」を選択した方に理由を聞いたところ、「成果がよくわからなかった」「期待したほどの認知獲得ができなかった」「リード獲得数が少なかった」といった回答が挙がりました。
上の質問と同様に、効果測定の方法や指標に課題があることがうかがえます。
9割以上がオフライン展示会の出展に意欲的
「展示会の代替手段を試してみて、結果的にオフラインの展示会の取り組みの評価はどのようにかわりましたか?」という質問に対しては、「今までと同程度で活用していきたいと考えるようになった」(48.7%)、「積極的に活用していきたいと考えるようになった」(43.9%)と、オフライン展示会の出展に意欲を示す回答がほとんどでした。
代替施策に満足しながらも、「今までよりも活用を減らそうと考えるようになった」はわずか7%にとどまり、オフライン展示会の重要性が再認識されたことがわかります。
展示会出展の投資対効果やフォロー方法に悩む企業が多数
最後に、コロナ禍後の展示会出展における困りごとについて聞きました。主な困りごととして、「展示会の投資対効果、成果がよくわからない」「展示会後のフォローがうまくできていない」「当日の名刺・商談獲得件数が少ない」といった回答が並びました。
投資に対する具体的な成果を明確にするための評価指標の導入、アフターフォローのプロセスの整備や強化、ブース運営方法の改善といった対応が必要であることが推察できます。
才流では、展示会の基礎知識から投資対効果の試算方法、ブース運営やアフターフォローの進め方、よくある失敗と対策などの展示会出展に必要なノウハウを図解を交えて詳細に解説した『BtoB企業の展示会出展ガイドブック』を公開しています。
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調査概要
調査目的 | 展示会出展の状況を把握するため |
調査対象 | 以下の条件をいずれも満たす20~60代の会社員男女 ・展示会出展内容の企画・予算策定、あるいは支援会社の選定に関与 |
有効回答数 | 300件 |
調査期間 | 2024年7月4日 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査企画・実施 | 株式会社才流 |
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