才流では展示会出展の投資対効果を簡単に試算できるシート(Excel形式)を配布しています。
以降、このシートに沿って説明していくので、「展示会計画・出展準備テンプレート」をダウンロードしてお手元に用意してください。なお、テンプレートはどなたでも個人情報を入力することなくダウンロードが可能です。
展示会計画・出展準備テンプレート(Excel形式)をダウンロードする
※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。
展示会計画・出展準備テンプレートの概要
本テンプレートは、次の5つのシートで構成され、投資対効果の試算以外の用途でも使います。ただし、本章では「投資対効果試算」シートだけを使用します。
- 出展候補選定
- 投資対効果試算 ※本章で使用するシート
- マスタスケジュール
- チェックリスト
- マスタ
投資対効果試算シートの使い方
投資対効果試算シートは、展示会に出展する際の投資対効果をシミュレーションするためのものです。必要な数値を入力するだけで、展示会の出展にかかる費用と自社が獲得すべきリード数、受注数を算出できます。
本シートでは一般的なサイズである4小間程度(6,000mm×6,000mm規模)での出展を想定して、項目や金額の例を用意しています。ただし、1小間の大きさは展示会によって異なるので注意してください。
また、出展するのに必要な備品や装飾、人件費などの金額も利用する業者、内容によって変動します。あくまでも参考値とし、実際の大きさや金額は各社に確認してください。
投資対効果を試算する
ここからは実際に投資対効果試算シートを使って、投資対効果を試算します。次の4ステップで進めていきます。
- 獲得目標・想定商談化率の入力
- 出展費用の入力
- 投資対効果の確認(リード・商談獲得)
- 投資対効果の確認(受注獲得)
1.獲得目標・商談化率の入力
はじめに、名刺・バーコード、ヒアリングシートの獲得目標を入力します。
名刺・バーコードの獲得目標は、展示会来場者の5〜10%を目安にします。
ただし本ガイドの第1章「展示会出展の目的と本ガイドで目指すゴール」でも説明したとおり、初めて展示会に出展する場合は展示会来場者の5%としてください。来場者数の過去実績は、主催者に問い合わせて確認します。
ヒアリングシートの獲得目標は、名刺・バーコード獲得目標の10〜20%が目安です。こちらも初めて出展する場合は10%としてください。
想定商談化率は、獲得した名刺・バーコード、ヒアリングシートから商談化する割合を指します。展示会出展以外のマーケティング施策の実績から、予測できる数値を入力してください。
なお、名刺・バーコードはターゲット外のリードや、まだ検討のフェーズに入っていないリードが多く含まれるため、通常の営業活動における商談化率よりも低くなる傾向があります。一方、ヒアリングシートは「説明員とコミュニケーションをとってもよい」と考えた来場者が回答しているため、通常の営業活動における商談化率と同程度の数値にして問題ありません。
商談化率は、ヒアリングシートを獲得できていれば20%程度、名刺・バーコードしか獲得できていない場合は5%程度となるケースが多いです。これらを入力すると想定商談数が算出されます。
2.出展費用の入力
つづいて、展示会出展に必要な費用を算出します。
基本的な項目と単価・数量はあらかじめ入力してあります。実態と乖離がある場合は、実態にあわせて単価や数量を変更してください。
とくに昨今は物価も人件費も高騰しています。必ず最新情報を取得し、更新してください。合計金額として、出展費用の総額がセルC5に算出されます。
3.投資対効果の確認(リード・商談獲得)
出展費用の概算が出たら、リードと商談の獲得単価をそれぞれ確認します。なお、ここでのリード獲得単価とは、名刺・バーコードの獲得単価を指します。
リード獲得単価は、出展費用 / 名刺・バーコード獲得目標で計算しています。
展示会の規模にもよりますが、単価は5,000円以下を目標とするのが望ましいです。ただし、ほかのリード獲得施策と比較したうえで、10,000円以下であれば許容する企業も少なくありません。
自社のリード獲得状況や商品・サービスの価格を考慮して判断してください。
商談獲得単価は、出展費用 / ヒアリングシート獲得目標で計算しています。商談獲得単価は企業や商品・サービスによって異なるため、算出された金額が妥当かどうかを必ず確認してください。
なお、ここではどちらも出展費用の総額をリード獲得数、商談獲得数で割っています。本来は、リード獲得、商談獲得にかかる費用をそれぞれ算出して計算すべきですが、その比率を定めるのが困難であり、計算も複雑になるため、両方に同一の金額を適用しました。
したがって、ここで算出される金額はあくまでも意思決定をする際の参考値としてください。
また、出展費用は社員の人件費を考慮していません。より正確に計算したい場合は、準備にかかる工数や当日ブースに立つスタッフの工数、フォローにかかる工数なども加味してください。ただし、毎回試算するのは時間がかかりすぎるため現実的ではありません。一度人件費の概算を出して、「人件費抜きで投資対効果が5倍以上ならOK」などの目安を自社で持っておくとよいでしょう。出展する・しないの判断がしやすくなります。
算出されたリード獲得単価、商談獲得単価を確認して、価格が見合わないと判断した場合は、獲得目標を上げる、出展費用を見直すなどの調整を行いましょう。
4.投資対効果の確認(受注獲得)
つづいて、受注獲得の投資対効果を確認します。
商談からの受注率と、商材のLTVを入力して、投資対効果を確認します。商談からの受注率はリードタイムを踏まえ、展示会出展から1年間の期間で算出してください。
LTV(Life Time Value)は、1顧客が生涯にわたって生み出す粗利の合計を指します。顧客生涯価値と呼ばれることもあります。たとえばSaaSのようなサブスクリプション型のビジネスの場合は、次の計算式で算出できます。
LTV = 1顧客あたりの月次粗利 ✕ 平均継続月数
平均継続月数はユーザーの延べ継続期間をユーザー数で割ったものです。仮に1顧客あたりの月次粗利が10万円で、平均継続月数が24か月の場合、LTVは240万円となります。
スポット型のビジネスの場合、LTVは次の計算式で算出できます。
LTV = 1取引あたりの粗利 ✕ 平均リピート購買数
たとえば1取引あたりの粗利が30万円で、平均のリピート購買回数が5回の場合、LTVは150万円です。本シートでは、LTV150万円の商材を例に、次のように算出できました。出展費用を十分に回収できる結果です。
※関連記事:LTV・CACの計算方法とよくある質問への回答【テンプレート付き】
以上で投資対効果の試算は完了です。
展示会への投資が効果に見合うことが確認できたら出展計画を立案し、出展準備に取り組んでいきましょう。詳細は次章で解説します。