マーケティング支援をしている中で、お客さまから「Webサイトをリニューアルしたい。どこかおすすめの会社ありますか?」という相談をいただくことがあります。
しかし、いろいろと話を聞いてみると、「リニューアルしないほうが良いですね」という結論に落ち着くことがよくあります。今回はサイトリニューアルをしないほうがいい、と判断する場合の背景をお伝えします。
1.大失敗する可能性がある
まず、数か月に及ぶサイトリニューアルのプロジェクトは、微小な確率とはいえ、“大失敗”する可能性があるということをお伝えしておきます。
発注した制作会社が思ったようなアウトプットをしてくれないかもしれないし、リリース後、思わぬバグでサイトが止まるかもしれない。失敗の理由はいろいろありますが、確率が数%でも1%でも0.1%でも、運悪く「ハズレくじ」を引いてしまったら、相当な時間とお金が吹き飛んでしまうわけです。
Webサイトリニューアルは、得られる利得もありますが、失敗すれば失う利得もまた大きいのです。
言わずもがな、企業にとって時間とお金は大事なもの。リスクマネジメントの視点は忘れてはいけません。
そこでおすすめをしているのは、「大失敗」してもダウンサイドリスクが小さいプロジェクトを繰り返して、成果を積み上げていく方法です。
もちろん、大きくリニューアルした方が良い場合もありますが、その場合も一部のページやユーザだけで試したり、他の媒体(営業資料やパンフレット、動画)で試したり。いくつかのサブプロジェクトに分割して行うことで、リスクを極力避けるのが良いでしょう。
※関連記事:才流のコンサルタントが指摘したBtoBサイトの改善点TOP10
2.プロジェクトマネジメントが難しい
一般的&経験的な話として、複数人が関わり、数か月に及ぶプロジェクトの進行は難易度が高いです。『7割のITプロジェクトは失敗する』などと言われるぐらい、そもそもプロジェクトのマネジメントは難しいもの。
着手から完了までの期間が1.5~2か月ぐらいまではマネジメントしやすいですが、それ以上に長い期間は、前提条件が変わる可能性が出てきたり、関わる人たちの熱量も冷めたり。出せる成果の期待値が低くなっていくのです。
TOPページは構成やデザインに注力したが、下層ページ(製品紹介や事例、導入の流れなど)で力尽きてしまい、テキストだけのページが大量生成されてしまう。
そんなことが、サイトリニューアル・プロジェクトではよく起ことるのです。
また、プロジェクト期間が長くなるほど、リリース時に『ゴールした』雰囲気になってしまうことがあります。しかし、Webサイトは改善を繰り返していくのが基本です。出して終わりにならないようにしたいものです。
3.サイトリニューアル後の効果検証が難しい
最後の理由は、得られた結果に対して何がうまくいって、何がうまくいかなかったのか、効果検証がきちんとできないことです。
例えば、200ページをフルリニューアルした場合、CV率やCV数が大きく上がっても、キャッチコピーを変えたのが良かったのか、サービス紹介ページのコンテンツを入れ替えたのが良かったのか、信頼感のあるデザインになったのが良かったのかを分析できません。
「打ち上げ花火」的な成果ではなく、継続的な成果の最大化を目指すのであれば、まずはTOPページだけを変えてみたり、事例ページの魅せ方を変えてみたり、EFO(エントリーフォーム最適化)、ファーストビュー改善、CTA改善など工数が少なく効果が高い施策から1つ、1つ効果検証をしながら進めていきましょう。
成果が出た施策や理由を特定できれば、勝ちパターンを拡大し、さらなる成果を積み上げることができます。
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オススメはアップデート主義のプロジェクト推進
サイトリニューアルをおすすめしない3つの理由をあげましたが、ではどのように改善を進めればいいのでしょうか。
当社では、以下のコンセプトを汎用性高くオススメしています。
仮に年間予算が600万円ある場合、構築やリニューアルに480万円を投じて、10万円/月で運用するのではなく、50万円/月で運用改善を繰り返し、成果に応じて、徐々にリソース(お金と時間)を投下していく進め方です。
スタートアップ的なプロダクト開発の手法を、企業のコーポレートサイトやサービスサイトに当てはめた考え方と言えます。
これはサイトリニューアルだけなく、他のマーケティング施策でも使える考え方です。
あのイチロー選手も「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています」と言っていました。
マーケティング施策は愚直に小さい勝ちを積み重ねるのが、とんでもない成果を出す方法なのです。
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