顧客の声で自社の商品・サービスをおすすめしてもらい、Webサイトからは見えない価値を知ってもらうための導入事例。見込み顧客への強い訴求として、BtoBマーケティングでは欠かせないコンテンツです。
本記事では、おもに初めて導入事例記事を制作する方に向けて、取材許諾の取り方を3つのステップに分けて解説します。
記事の後半では、取材を依頼する際に必要な依頼メール文面と依頼書のテンプレートも掲載しています。車輪の再発明を避けるために、ぜひ活用してください。
なお、本記事を作成するにあたり、BtoBマーケターの方へのインタビューとアンケートを実施しました。インタビューの内容やアンケート結果も、本文にて紹介いたします。
才流では、「見込み顧客・既存顧客へのインタビュー」「ユーザーテスト」を含めた支援をしています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら
ステップ1.取材する顧客を選定する
まずやることは、導入事例の取材先となる顧客の選定です。導入事例の効果を最大限発揮するために、チェックリストに沿って最適な顧客を選定しましょう。
顧客を選定するときのチェックリストは以下のとおりです。
- 狙いたいセグメントに合致しているか(業種、規模、地域、課題など)
- 営業戦略やマーケティング戦略のターゲットに合致した顧客を選定しましょう
- ネームバリューがあるか
- 導入事例の宣伝効果が高まるため、知名度が高い会社を優先して選定しましょう
- 成果が出ているか
- コンテンツ力が高まるため、より大きな成果が出た会社を優先して選定しましょう
- 導入直後の場合は、「選定理由」を中心に導入事例を制作する場合もあります
- 取引額が大きいか
- 取引額が大きい会社の導入事例を掲載することで、同程度の案件獲得を狙いやすくなります
- サービスを提供してから時間が経ちすぎていないか
- サービス提供から時間が経ちすぎて、内容が時代遅れになっていないかを確認しましょう
- 解決した課題が特殊ではないか
- 同じ課題を抱えている企業が少ないと考えられる場合、優先度を下げましょう
- 既存の導入事例と内容が重ならないか
- 作成済みの導入事例とメインメッセージやセグメントが重ならないか確認しましょう
チェックリストを反映した導入事例管理シートも作成いたしました。事例作成の管理に、ぜひご活用ください。
※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。
ステップ2.社内調整を行う
取材する顧客が決まれば、社内調整を行います。ここでいう社内調整とは、顧客の窓口となっている営業担当者や営業の管理職の方に対して、導入事例制作の趣旨や進め方を説明することです。
社内調整の際は、以下の点を確認しながら進めましょう。
- 社内の関係する部署や担当者に漏れなく趣旨を説明したか
- 営業担当者の理解、協力は得られているか
- 取材日程を明確にできているか
また、今回は実際に社内調整を行ったことのある複数のBtoBマーケターの方にインタビューを実施。参考として、失敗談をうかがいました。
■ 失敗談 ①
自社の営業に煙たがられて、積極的に協力してもらえないことがありました。
営業は「自分のお客さま」という意識が強いので、掻きまわされたくないと考えたのかもしれません。周到に準備をしすぎて(数字や状況を知りすぎていて)、警戒されたこともあります。そこで、あえて軽いタッチで伝えるようにしています。
また、お客さまにも喜んでもらえること、決して無理強いはしないこと、進め方も柔軟に対応することを伝えるようにしています。
インタビューのなかで、「営業の管理職は論理的に説明すれば理解してくれるが、現場の営業担当者は感情的に嫌がることが多い」との声が複数ありました。担当者の性格に合わせてコミュニケーションを変えること、日頃から営業との関係性の質を高めておくことが必要だということがわかります。
■ 失敗談 ②
自社営業からはOKをもらったものの、取材日程が先延ばしになるケースが多いです。
先延ばしになっている間にお客様側の担当者が変わり、交渉が難しくなったことも多々ありました。
営業の中で事例制作は優先度が低いことが多いので、こまめに営業にリマインドすることを心掛けていました。リマインドする際も、世間話から切り出すなど警戒されないよう工夫していました。
取材許可は得たものの、取材日程がなかなか決まらないケースです。組織的な解決策として、導入事例の制作本数を営業の評価に加えることもあるそうです。
■ 失敗談 ③
別部署の関係者への共有が漏れており、「事前に聞いていない」と問題になりました。
複数部署が関わっているお客様だったのですが、一部の関係者への説明が漏れていました。
改めて関係者への共有を徹底しようと思いました。
関係者が複数部署にまたがっている場合は、抜け漏れがないようとくに注意が必要です。
ステップ3.顧客に取材を依頼する
最後のステップは、顧客への取材依頼です。依頼する際は、以下の点を意識しましょう。
- 導入事例の掲載イメージを伝える
- 取材日時は顧客の都合を優先する
- 公開前に原稿確認が可能なことを伝える
- 口頭だけでなく文書で取材依頼を行う
依頼メールの文面と依頼内容の詳細をまとめたテンプレートを紹介します。汎用的な内容になっているため、個社ごとにカスタマイズしながら活用してください
導入事例依頼メールのテンプレート(Word形式)をダウンロードする
導入事例依頼文書のサンプル(Word形式)をダウンロードする
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アンケート結果|BtoB企業における導入事例の依頼の実態
ここからは、顧客への取材依頼の実態を明らかにするために行ったアンケートの結果を紹介します。
■ アンケートの概要
・調査期間:2021年1月29日(金)
・調査対象:BtoB企業において導入事例制作の担当経験がある方
・調査人数:110名
・調査方法:インターネット調査
Q1. 導入事例取材を依頼するタイミングで最も多いのはいつですか?(単一回答)
取材を依頼するタイミングは、「受注前」が最多の62.7%です。才流でも、あらかじめ契約書に事例許諾に関する文言を盛り込むなど、「受注前」に依頼を行うことを推奨しています。
Q2. 導入事例の取材は、どのような方法で依頼しましたか?(複数回答)
依頼方法は「メール」が最多の71.8%ですが、「メール」だけではなく「電話」や「ミーティング」で依頼することも多いようです。伝達事項の抜け漏れや、依頼内容の齟齬を防ぐため、電話やミーティングで依頼した場合は、追ってメールで詳細を依頼しておくと安心です。
Q3. 導入事例取材を依頼する担当者は誰ですか?(複数回答)
基本的には顧客の窓口となっている営業担当から依頼することが多いようです。ただし、どうしても営業担当が対応できない場合のみ、マーケティング担当から連絡することがあるとのお話もありました。
Q4. 導入事例取材を依頼する際、値引きなどの金銭的な条件を提示しますか?(単一回答)
値引きなどの金銭的な条件提示は、「一度も提示したことがない」が12.7%と最も少ない結果となりました。インタビューをした中では、積極的に値引きを提示するというより、最終手段として値引きを提示する企業が多いようです。
Q5. 導入事例取材を依頼した場合に、クライアントから承諾いただける割合はどの程度ですか?(単一回答)
取材依頼の承諾率は「30~49%」が最多でしたが、数値が分散しました。顧客との付き合い方や、取材する顧客の選定基準が各社異なるため、このような結果になったと考えています。
まとめ
アンケートの結果から、取材許諾には顧客と直接コミュニケーションをとっている営業担当の存在が大きな役割を占めることがわかりました。社内調整のパートでもお伝えしましたが、マーケティング担当と営業担当が、日頃から密にコミュニケーションをとっておくことで、スムーズな事例制作が可能になるでしょう。営業担当とゴールを共有し、事例制作に取り組めるかが成否の鍵になると考えます。
本記事のチェックリストやアンケート結果が参考になれば幸いです。
導入事例管理シート、依頼メール文・依頼文書も、ぜひ活用してください。
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